ありがたいことに『時間をうまく使う人と追われる人の習慣』という拙著、 昨年12月半ばに発売され、現在2ヶ月ちょっとですが、25,000部の発行数となりました。
感想や質問も少しずついただいており、ここで私の思うところをお答えしたいと思います。
タイムマネジメントの種類
タイムマネジメントは大きく二つの種類があり、「効率を求めるタイムマネジメント」と「生きがいや、ありたい姿を追い求めるタイムマネジメント」があると考えています。
前者は、時間の使い方そのものを扱い、段取りや優先順位や成果を上げるためにムダを削り、時間を生み出すというスキル的なもの。
後者は、自分の時間を自分のために質を上げ、満足度を上げていこうとするもの。
拙著はどちらかというと後者のスタンスに重きを置いていますが、両方を書いています。なぜならば、どちらも不可欠だからです。
タイムマネジメントという言葉に、ある種の抵抗を感じておられる方がいらっしゃることも認識していますし、時間や計画、目標という言葉に、拘束されるイメージがあることは共感もできます。
しかし現在の私達の生活が、先達の労働における効率性のタイムマネジメントやテクノロジーの進歩によって便利さを享受できているのは事実です。
(私は先ほど、乗り換えアプリで明日の行き方と時間を調べていましたが、スマホが無かった時代は、路線や時間を調べて、地図で徒歩時間を予測し・・・といった作業を当たり前にやっていましたよね。。。ほんと便利です。)
個人の時間のゆとりを生むためにも欠かせないので「効率指向のタイムマネジメント」も忌み嫌うこと無く、「長い時間軸で自分の生き方を考えるタイムマネジメント」と両輪が必要なのだと思います。
時間を使う時の「焦り」について
たとえば、
①「この日までに仕上げないといけないのに、時間が足りない!(早くやっとけばよかった・・・と後悔)」とか
②「いつのまにか時間が無くなってる!」(今までオレは何やってたんだ!何も成し遂げてないという焦り)」とか
③「今、私○○歳だけど、このままでいいのかしら?(もっと幸せがあるのでは?の青い鳥症候群)」と
いった焦りがあったとします。
この場合、①は効率性指向のタイムマネジメントで解決できそうですが、③はご自身の生き方を考えることが必要ですし、②はその両方を考えた方が良さそうです。
タイムマネジメント・コーチングで扱う時には、こうしたことを考えながら展開しています。
効率だけのタイムマネジメントに大きく偏ると、「焦り」や「空虚感」を生む原因になります。
時間を削り出すこと自体が目的になってしまったり、時間を作っても結局自分のやりたいことをやらないからです。人生において重要度の低い物が、いつのまにか、ススーッと入ってきてしまいます。
せっかくのんびりしようと時間を作ったのに、やってもやらなくてもいい仕事をしてしまい、「結局仕事だけの1週間だったなぁ・・・」なんて虚無感を感じることはあるのではないでしょうか。効率性だけでいくと大事なものを置き去りにしてしまうのではないかと思うのです。
そのために、自分の時間に向き合い、どう使うかを考えるゆとりを持ちたいものです。何をやりたいから時間を作るのか?何ができていたら満足出来るのか?といったことを問うゆとりです。そうすることが焦りからの解放にも繋がると考えます。
虚無感について
まずは、「自分の喜びになる時間」を、日常でも少しずつ感じてみてはいかがでしょうか。
1日の中にホッとする時間は必ず持つとか、1週間に一度は誰かのためでなく自分だけが嬉しい時間を確保して、自分を大切にしてあげるというのも虚無感からの解放の一助になると考えます。
ですから、ドラスティックに環境を変える必要も無いと思っています。
例えば転職。「自分のやりたいことじゃないから転職する・・・」というのも選択肢のひとつですが、今の環境でも味わえるのに味わっていないものや、やっていないこともあるかもしれません。
そもそも転職するのも時間も労力も掛かりますから、タイマネ的には良い策とはいえないかもしれません。
今の状況で幸せになるための「小さな工夫を多く積み重ねる」作業が、転職より先に来ているでしょうか。
また、「今を感じる」というのも手だと思います。
今を感じる、味わうということに関して少し乱暴に言えば、「今の時間、一瞬一瞬が楽しめると、最後は人生楽しかった!と思えるのでは?」「でも、その”楽しい”は、結果何も得られなくても頑張った充実感とか、日常の見慣れた景色の変化に感動したとか、誰かが言ってくれた言葉が嬉しかったとか、無理めのチャレンジだけど挑戦したとか、すごく集中した満足感みたいなものも含みます。」そして「仕事も人生の一部なので、仕事も没頭できると幸せじゃないですか?」・・・と思っています。
フロー(超集中状態)は幸福の一つだそうですから。
石川善樹さんの『仕事はうかつにはじめるな』(プレジデント社)によると。
「Now and Here (今ここ)」でなく、いつも未来をどうしよう?とか、過去のやらかしたことに気を持って行かれると、今に集中することや今を味わうことができません。
そのような理由でマインドフルネスもご紹介しました。
満足を感じるために、振り返りも使えます。
「オレ、今Excelに没頭してるな」
時間の使い方的にはメタ認知ができて、良いことだと思いますが、
お気づきのように、目の前100%に集中はできてません。(笑)
この場合の俯瞰は、あとからの振り返りですね。
「今日の仕事は、没頭してたな~」と寝る前にでも、集中の気持ち良さを味わい、集中できていた自分を認めてあげれば、・・・なんなら褒めてあげても良いのではと思います。
焦りから解放されるためにできること
- 自分の希望を素直に認め、行動に移す
- 自分の幸せに繋がるための行動を決めたら、自分とも約束を守る
- やるべきことは先にやる(特に下準備、段取り)
- やりたいことの時間は天引きしておく
- 24時間の器に入らないやるべきことが多すぎれば、手放す
- 焦りを感じる暇がないくらい集中して濃く時間を使う
など考えられる手だと思います。
時間の焦りや不安はストレスです。
ただ闇雲に不安がるより、それと向き合ってみれば案外、ラクになる手が見えるかもしれません。
そんなヒントになると著者冥利に尽きます。