テレワークにも慣れつつあり、家で仕事をすることのメリットもデメリットも感じられるようになりました。テレワークをすることで仕事の効率が下がったという人は6割を占め、上がったという人は3割にとどまったという状況にも関わらず、「新型コロナが収束してもテレワークに前向きな人」が6割いたそうです。(日本生産性本部アンケート2020.5.22)

家で過ごす家族との時間や、生活をまわす家事の時間、通勤時間が無くなった分の時間のゆとり、趣味を楽しめる時間など、豊かなメリットを知ってしまった今、以前の状態に戻るのは難しいかもしれません。

おそらくこれからもテレワークの波は勢いづき、これから各企業でテレワークが、さらにしやすくなる制度が整えられていくことでしょう。

成功するテレワークに必要なものは?

テレワークの成功に必要なものは順番からすると、テレワークを可とする組織の制度仕事環境ですが、仕事で使う資料の共有化や、通信セキュリティの強化、通信環境を整備する援助などテレワーク導入過渡期の今、少しずつ改善されていることと思います。

それ以外で重要なもの、それは、「テレワーカーのセルフマネジメント」ではないでしょうか。家で仕事をすると、ふと目についた場所の掃除をしてしまったり、休憩時間が長くなってしまったりと、気を抜くと仕事と生活のメリハリが無くなっているかもしれません。

私がセッションでよく聞くのは、一応仕事開始と終了の時刻は決めているものの開始が遅れたり、キリのいいところで終わろうと残業をしてしまったりと、タイムマネジメントが緩くなってしまうということです。また家にいればどうしても邪魔が入るため、集中しづらく効率も低下します。通勤時間が無くなった代わりに、歩くという体を動かす時間も減ったと言います。家にいれば気軽に食べてしまいますから、ヘルスマネジメント的にも問題が出そうです。セルフマネジメントは、最近のコーチング・セッションでよく挙がるテーマの一つです。

人によって対策は異なりますが、共通するのはマイルールを作ることです。自律的に動くために、仕事や生活、運動、食事、睡眠などをどのように守るか、パフォーマンスを上げるために時間をどう使うかということを、決めてみるのも一歩かもしれません。

テレワークができる人の条件

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、「今後5年から10年かけて、社員の約50%を在宅勤務にすることが可能だと思う」(5月21日FBより)と言っていますし、twitter社も「従業員が在宅勤務できる役割や状況にある場合、彼らが在宅勤務を続けたいならそれを実現するつもりである」という内容を発表しています。

ただし、Facebook社で在宅勤務ができる人の条件

  • 経験豊富な人、優れた技術を持っている人
  • 最近のパフォーマンスが優れていること
  • 在宅勤務をサポートしてくれる人がいるチームの一員であること
  • 所属しているグループの上司から承認を得ること

とあります。(2020.6.3朝日新聞)ここで気になるのは、3の「在宅勤務をサポートしてくれる人がいるチーム」です。これは、家でテレワークをする人の為にオフィスに出社し、サポートする人がチームに必ず何人か必要であると読めます。

何かしら「テレワーク」というシステムを支える為に出社しなければできない仕事があります。ここに来てテレワークが進むにつれ、評価システムもテレワーガーもオフィスに出社する人と同様にしようという考えが出ていますが、出社する人が「自分の仕事」プラス「テレワーカーのサポート」までしなければならないのに同じ給料だと考えると気の毒な気がします。

テレワーカーの成績査定が難しいことや、テレワーカーを定時で縛るのか、流動的に合計した勤務時間で縛るのか、家での仕事のパフォーマンスはどのように見てもらえるのかなど、テレワークを推進するための議論はまだまだ必要です。

生活の場を侵食している可能性

今まで家は生活をする場でした。
通勤地獄から解放される代わりに、生活の場所に仕事を持ち込み、憩いの場所が無くなっていることも認識しなければなりません。テレワーカーの為に、家族は息をひそめて生活をしなければならない、くしゃみも雑談もできない生活空間になっている家庭もあるそうです。

とはいえ、日本の狭い住宅環境では仕事専用のスペースを作るのは難しいでしょう。在宅勤務格差が仕事パフォーマンスの差にも影響する可能性もあります。仕事と生活のうまい融合の仕方を考えるのも、テレワークについて考えるポイントですね。